事務所移転の流れと各種手続きを徹底解説
2022-02-26
会社や事務所の移転は、個人の引っ越しに比べ、手続きや工程が複雑です。
まずはやるべきことを整理することが大切です。
そこで本記事では、事務所の移転が決まったらやるべきことを手順に沿って解説します。
事務所移転のメリット
事務所移転は、時間と手間のかかる一大イベントです。
移転は目的と計画性が非常に重要になります。
ここでは、事務所移転のメリットとデメリットについて解説します。
社員のモチベーションアップ
オフィスが新しく綺麗になれば、社員の仕事に対するモチベーションも上がります。
しかし、一過性のものにしないためには、常に働きやすいオフィスをつくることが大切です。
社員同士のコミュニケーションが活性になる
最近では個人の席が決められていないフリーアドレス席やパーソナルブースを採用する企業が増えています。
ミーティングスペースや気分転換ができるリフレッシュスペースを設置も社員同士のコミュニケーションの活性化につながるでしょう。
優秀な人材の採用につながる
働きやすいオフィスは優秀な人材の採用にもつながります。
コストを削減できる
テレワークを推奨する会社が増えたため、社員全員が一度に集結できる広いオフィスは必要なくなります。
オフィススペースを縮小すると、賃貸料・光熱費・社員の交通費などのコストが削減できます。
しかし、「コスト削減」だけを目的としてしまうと失敗する可能性があります。
あくまでも、社員が働きやすい環境を構築することを目的とすることが重要です。
事務所移転のデメリット
続いて、事務所移転のデメリットを紹介します。
コストがかかる
事務所移転には当然コストがかかります。
引っ越しの代金のほかに、場所や広さによってオフィスの賃貸料金も高くなりますし、家具も新調する場合は備品のコストも考えなければなりません。
そのため、計画的な移転が大変重要になります。
社員の働き方と必要な収容人数などから必要なオフィス面積を決定し、適正なオフィス面積を算出することで無駄が出ないように計画しましょう。
手間がかかる
事務所移転をするには、社員の働き方の見直し、オフィスレイアウト・デザインの策定、引っ越しの計画、書類の提出など、やるべきことがたくさんあります。
これまでより働きにくいオフィスになる可能性がある
新しいオフィスのレイアウトには気をつけなければなりません。
レイアウトによっては現在のオフィスより社員にとって働きにくい環境になってしまう可能性もあります。
社員の働きやすさを考慮してレイアウトを決めることが重要です。
事務所移転の際に行う手続き
事務所を移転するにあたって必要な準備や手続きを解説します。
事務所を移転するには膨大な量の準備や手続きが必要になりますが、どのように進めていくべきか把握することが、移転計画をスムーズに進められるかどうかのポイントになります。
オフィスの解約
移転計画が持ち上がったら、まず賃貸借契約書に記載されている「解約予告期間」を確認しましょう。
「解約予告期間」とは、オフィスビルの管理会社に対して退去通知してから退去する(解約日)までの期間のことです。
オフィスビルの場合、6ヶ月が標準的な期間になっていますが、この場合、退去する6ヶ月前までにビルの管理会社やオーナーに対し「解約通知」を出さなければなりません。
解約予告期間内に中途解約をした場合、違約金や期間内の賃料を請求されることがあります。
解約日から逆算をして、物件探しから原状回復工事までを完了させる計画を立てます。
オフィスの場合はテナント側が100%負担して原状回復を行うことが基本です。
どの範囲まで原状回復すべきか、オーナーや管理会社に細かく確認しておきましょう。
移転に必要な業者をリストアップする
事務所移転が決まったら、現在のオフィスの原状回復と新しいオフィスで業務を開始できる状態にするために必要な業者を探しましょう。
以下の業者が必要になるでしょう。
・オフィス専門の仲介業者
・内装業者
・電話・インターネット回線及び複合機リース業者
・引越業者
・原状回復業者
ガス・電気・インターネット・電話回線の解約手続きと契約の手続き
現在使用しているインターネットや電話の契約会社に対し、移転先のオフィスでも引き続きサービスを利用する場合は移転手続きを、別のサービス会社に切り替える場合は解約手続きを行いましょう。
また、OA機器や複合機をリース契約している場合はリース会社への連絡も必要です。
リース契約をしている場合は、基本的に途中で解約することはできません。
移転先でも継続することになるので、必要な手続きについてリース会社に確認しておきましょう。
銀行口座・クレジットカードの登録情報の変更
銀行口座の変更は、窓口に出向くほか、各銀行のWebサイトでも手続きを行えます。
登録手続きには、通帳や届出印に加え、移転後の登記事項証明書や社印なども必要ですので早めにそろえておきましょう。
クレジットカードの登録情報の変更には時間がかかることが多いため、早めにクレジット会社に連絡することが大切です。
保険の手続き
自社で契約している保険すべてに契約変更手続きが必要になります。
・社会保険
・労働保険
・雇用保険
・健康保険
・厚生年金保険
これらの保険は全てそれぞれの申請が必要なので、保険会社や証券番号、被保険者などをあらかじめリストアップし、保険会社に連絡しましょう。
取引先へ移転の連絡
取引先への移転の連絡と挨拶は、必ず移転前に行っておきましょう。
連絡漏れがあったり先方が失礼に感じる連絡をしてしまったりすると、信頼関係に影響を及ぼしかねません。
そのようなことが起こらないよう、あらかじめ連絡すべき取引先をリストアップし、リストに漏れがないように注意しましょう。
オフィス移転の通達方法は、はがき等の書面でもメールでも基本的に問題はありません。
文面を作成する際は丁寧な言葉遣いを意識しましょう。
事務所移転に必要な各機関への手続き
次に、事務所移転に伴う各機関への必要書類や届け出について紹介します。
労働保険関連の変更手続きを行うのは、労働基準監督署です。
労働基準監督署へは「労働保険名称・所在地等変更届」を提出します。
ただし、一元適用事業所と二元適用事業所とでは、提出先が異なるので注意しましょう。
一元適用事業所とは、労災保険と雇用保険を一本化して申告や給付を行う事業所のことです。
二元適用事業所では、労災保険関連と雇用保険関連とを別々のものとして扱います。
保険料の申告や給付も個別の対応となります。
基本的には一元適用事業所であることがほとんどですが、都道府県や市町村が行う事業や農林・水産事業、建設事業などは二元適用事業所です。
一元適用事業所では、労働基準監督署に書類を提出します。
二元適用事務所の場合は、労災保険の変更届は労働基準監督署に、雇用保険の変更届は公共職業安定所に提出することになります。
どちらの場合も、移転してから10日以内に提出する必要があります。
提出先は新しいオフィスを管轄する労働基準監督署ですので、間違えないようにしましょう。
年金事務所で、健康保険や厚生年金保険の変更手続きをする必要があります。
手続き方法は現事務所と移転先の事務所が同一管轄内かそうでないかで異なるため、しっかり確認しておきましょう。
「適用事業所所在地・ 名称変更届」を管轄の年金事務所に移転後5日以内に書類を提出する必要があります。
現事務所と移転先の事務所が同一の管轄外であったとしても、移転前の管轄事務所に提出します。
会社を設立した際には本店所在地の、支店を設置した際には支店所在地の登記をすることが法律で定められています。
事務所移転の際は、これらの登記内容を変更するために、法務局に必要な書類を提出することが必要です。
移転するのが本店か支店かによって提出書類や期間が以下の違いがあります。
本店を移転した場合:「本店移転登記申請書」を移転してから2週間以内に提出
支店を移転した場合:「支店移転登記申請書」を移転してから3週間以内に提出
移転前と移転後とで法務局の管轄が変わるときは、どちらにも書類を提出する必要があります。
また、管轄内の移転では登録免許税が3万円、管轄外に移転した場合は6万円がかかります。
税務署・都道府県税事務所に提出する書類には以下の2種類があります。
「異動届出書」:移転してすぐに提出
「給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出書」:移転して1ヶ月以内に提出
これらの書類は、移転前後の管轄する税務署・税事務所にそれぞれ提出する必要があります。
移転によって納税地が変わるときは、移転する前と後のそれぞれの税務署に提出してください。
税務署の窓口に持参するほか、郵送やe-Taxで提出することも可能です。
ハローワークには、「雇用保険事業主事業所各種変更届」を提出が必要となります。
書類を提出する際には、労働基準監督署に届出をしたときの書類の控えも必要です。
提出先は、移転先のオフィスを管轄するハローワークです。
移転してから10日以内に提出しましょう。
書類は事務所まで持参するか、電子申請を利用して提出ができます。
郵便物届出変更はインターネットから簡単に手続きすることができますが、手続きが完了し新しい住所に郵便物が届くようになるのは一週間前後の時間がかかりますので、移転の一週間前を目安に届け出を出しましょう。
消防法施行令別表に表記されている事業については、移転の7日前までに防火対象物使用開始届出書を提出する義務があります。
新オフィスを管轄するにあたり、消防法に定められている防火管理者を選定し、管轄の消防署に申請します。
現在の駐車場から移転先の駐車場へ移る場合は警察署に自動車保管場所証明申請書を提出することが義務付けられています。
労働基準監督署への手続き
労働保険関連の変更手続きを行うのは、労働基準監督署です。
労働基準監督署へは「労働保険名称・所在地等変更届」を提出します。
ただし、一元適用事業所と二元適用事業所とでは、提出先が異なるので注意しましょう。
一元適用事業所とは、労災保険と雇用保険を一本化して申告や給付を行う事業所のことです。
二元適用事業所では、労災保険関連と雇用保険関連とを別々のものとして扱います。
保険料の申告や給付も個別の対応となります。
基本的には一元適用事業所であることがほとんどですが、都道府県や市町村が行う事業や農林・水産事業、建設事業などは二元適用事業所です。
一元適用事業所では、労働基準監督署に書類を提出します。
二元適用事務所の場合は、労災保険の変更届は労働基準監督署に、雇用保険の変更届は公共職業安定所に提出することになります。
どちらの場合も、移転してから10日以内に提出する必要があります。
提出先は新しいオフィスを管轄する労働基準監督署ですので、間違えないようにしましょう。
年金事務所への連絡
年金事務所で、健康保険や厚生年金保険の変更手続きをする必要があります。
手続き方法は現事務所と移転先の事務所が同一管轄内かそうでないかで異なるため、しっかり確認しておきましょう。
「適用事業所所在地・ 名称変更届」を管轄の年金事務所に移転後5日以内に書類を提出する必要があります。
現事務所と移転先の事務所が同一の管轄外であったとしても、移転前の管轄事務所に提出します。
法務局に移転登記申請
会社を設立した際には本店所在地の、支店を設置した際には支店所在地の登記をすることが法律で定められています。
事務所移転の際は、これらの登記内容を変更するために、法務局に必要な書類を提出することが必要です。
移転するのが本店か支店かによって提出書類や期間が以下の違いがあります。
本店を移転した場合:「本店移転登記申請書」を移転してから2週間以内に提出
支店を移転した場合:「支店移転登記申請書」を移転してから3週間以内に提出
移転前と移転後とで法務局の管轄が変わるときは、どちらにも書類を提出する必要があります。
また、管轄内の移転では登録免許税が3万円、管轄外に移転した場合は6万円がかかります。
税務署・都道府県税事務所へ手続き
税務署・都道府県税事務所に提出する書類には以下の2種類があります。
「異動届出書」:移転してすぐに提出
「給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出書」:移転して1ヶ月以内に提出
これらの書類は、移転前後の管轄する税務署・税事務所にそれぞれ提出する必要があります。
移転によって納税地が変わるときは、移転する前と後のそれぞれの税務署に提出してください。
税務署の窓口に持参するほか、郵送やe-Taxで提出することも可能です。
ハローワークへの手続き
ハローワークには、「雇用保険事業主事業所各種変更届」を提出が必要となります。
書類を提出する際には、労働基準監督署に届出をしたときの書類の控えも必要です。
提出先は、移転先のオフィスを管轄するハローワークです。
移転してから10日以内に提出しましょう。
書類は事務所まで持参するか、電子申請を利用して提出ができます。
郵便物届出変更
郵便物届出変更はインターネットから簡単に手続きすることができますが、手続きが完了し新しい住所に郵便物が届くようになるのは一週間前後の時間がかかりますので、移転の一週間前を目安に届け出を出しましょう。
防火対象物使用開始届出書
消防法施行令別表に表記されている事業については、移転の7日前までに防火対象物使用開始届出書を提出する義務があります。
防火管理者選任届
新オフィスを管轄するにあたり、消防法に定められている防火管理者を選定し、管轄の消防署に申請します。
車庫証明
現在の駐車場から移転先の駐車場へ移る場合は警察署に自動車保管場所証明申請書を提出することが義務付けられています。
まとめ
事務所移転の際にやるべき手順をまとめました。
事務所移転には膨大な量の必要な手続きがありますので、移転プロジェクトを成功させるためには、出来るだけ余裕を持ったスケジュールを立てることが重要です。
事務所移転を検討されている場合は、弊社までお気軽にお問い合わせください。